ハッピーエンド・オーバー

始まるはずのないプロローグ


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枢木晃仁(くるるぎあきと)は突然現れ、私の人生に関与した。

彼は私が五歳の時、隣に越してきた男の子だった。同い年の男の子が引っ越してくる、そんな噂は母に聞かされていたのだけど、いざ会うと、あまりに可愛らしいから、異性だとは思えなかった。

出会った頃枢木晃仁には妹が一人いたけれど、小学生にあがるころもう一人妹が増えた。妹たちにはそれはそれは懐かれた。

中学に上がると突然枢木晃仁に「はる」と呼ばれ始めた。私も「枢木くん」と呼び始めた。けれども家では「(よう)」と呼ぶので、私も普段通り「あきくん」と呼んだ。

同じ誕生日の私たちは、親同士が仲が良いことも後押しして、誕生日を一緒に祝うことが恒例行事となった。大人になって分かったけれど、あれは合同誕生会を口実に、親たちが飲む機会を増やしたかっただけだと思う。

「損した気分」
「ケーキも取り分が少ないし」
「別々の日に、それぞれ誕生会をして欲しい」
「当日はどっちにする?」
「もちろん俺」
「は?レディファーストって言葉があるでしょ?」

子どもの私達にとってはいい迷惑で、文句を何度か口にしていた。

けれど、例え彼女がいても、枢木晃仁は毎年私との合同誕生日を選んでいた。
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