道具屋の看板娘、冒険者名は『死神』です。アイテム過剰購入冒険者にムカつきますが、ギルマスにはイヤな奴だと思われたくありません
それに、彼らはヒューマンよりも過酷な環境で、かなり安い給金で働いている。

本来、ギルドは相手の種族が何であろうと、相手の身分が貴族や皇族、一般人であろうと、皆平等な報酬を支払うのが原則だ。

だが、実際には身分や種族により、かなりの落差がある。

暗黙の了解なのだ。

ラヴィーネには、それも許しがたいことだ。

終わらない窓口作業と在庫確認、ごった返した店内に笑顔を保っているのが苦痛でたまらない。

品切れ寸前のアイテムも多くなってきて正直、心許ない。

数を制限しても昼前には、マナ強化のポーションも毒消しもHP回復ポーションも売り尽くしてしまうに違いなかった。

ーーええい! どうせ、文句や愚痴を言われるくらいなら、成るようになってしまえ

「すみません。冒険者の皆さま。アイテムが完売いたしましたので、今日はこれで閉店いたします」

ラヴィーネは声を張り上げた。

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