この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「速水さん、不感症どうこうの話が出たときすぐに要くんの名前をあげたでしょう? ふたり、そういう関係になったんだ~と思ったら無性にイラッとして邪魔したくなっちゃったんだもん」

『だもん』とかわいい語尾で言われたところで、そう簡単に許せるものではない。

 環は絶句してその場に固まる。人目がなかったら床に膝をついていたかもしれない。

 彼女は暴言の犯人は高史郎じゃないと知っていたのに、自分たちの仲を引っかき回す目的でわざと意味深な発言をした。

 環はその策略にまんまとはまり高史郎と喧嘩別れするはめになった。それが真実だったようだ。

(ひ、ひどすぎない?)

「えっと、もしかして怒った? ごめ~ん、でも若い頃の話だしさぁ」

 表面だけだとしても「気にしないで」とすぐにほほ笑むことなどできない。

 そんな環の様子を見て、優実は「と、とにかく私は謝ったからね」と逃げるように去っていった。

 小さくなっていく彼女の背中を環は絶望を抱えながら見送る。

(あぁ。優実ちゃんも恨めしいけど、それ以上にカッとして短絡的に動いたあの頃の自分が憎いわ)

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