この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 不安とイラ立ちがつのって爆発してしまったのだ。

「それは違う!」

 高史郎が彼にしては珍しく語気を強めた。

 その行動に自分でも驚いたのか、コホンと咳払いをして場を仕切り直す。

 彼はまっすぐな眼差しを環に注ぐ。

「君にがっかりなど断じてしていない。それは信じてほしい」
「――はい」

「長いこと連絡できなかったのは申し訳なかったと思っている。祖父は急死に近い状況だったから、諸々の手続きなども大変で……なにより俺自身の気持ちの整理も」

(え、おじいさんの急死?)

 環は弾かれたように顔をあげる。

「おじいさんがお亡くなりになったのは、あのときだったんですか?」

 やっぱり。そう言いたげな表情で彼は軽く首をすくめた。

「先ほど祖父の話をしたときの君の反応……もしかしたらとは思ったんだが、やはりきちんと伝わっていなかったんだな」

 あの夜、彼にかかってきた電話は祖父が倒れたという知らせだったらしい。

「嘘……」

 環には彼のその説明を聞いた覚えがまったくない。

 高史郎を拒んでしまったこと、それをどう挽回すればいいのか、そればかり考えていたせいだろう。

「ご、ごめんなさい。私……」
< 146 / 222 >

この作品をシェア

pagetop