この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「この痛みは苦痛じゃないです。好きな人に愛される幸福な痛みだから、やめないでほしい」

 高史郎の目が大きく見開かれた。かと思えば今度はなにかをこらえるようにギュッと固くつむる。

「要先生?」

 おそるおそるといった様子でもう一度まぶたをあげた彼が弱りきった声をあげる。

「わかってるのか? 君は今、最後の機会をふいにした。この先はもう……止まってやれない」

「止まらなくていいです。最後まで……して」

「わかった」

 ようやく、彼とひとつになる。

 圧倒的な幸福と快感に、酩酊したような目まいを覚える。

「ずっと、こうしてたい」

 頭の横に投げ出されていた環の手を取って、彼はキュッと指先を絡めた。

「なら、ずっとこうしていよう」

 どこまでも優しく響く彼の声。繋がったのはきっと身体だけじゃない。

 ふたつの心もパズルのピースがぴたりとはまるように重なった、そんな気がした。

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