この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 環に年齢相応の経験がともなっていれば彼にこんなに気遣いをさせることもなかっただろう。

 それを心から申し訳なく思う。

 シュンとする環に彼はコツンとおでこをくっつけてほほ笑む。

「謝るようなことじゃない。むしろ俺は君が初めてだと知って嬉しかった。初めても二度目も……最後も相手が俺ならいい。そんなふうに思ってる」

 その温かで優しい愛に胸が高鳴って、目頭が熱くなる。

(あぁ、やっとわかった)

 ずっと処女を卒業したいと思っていた。

 どうして自分には手に入らないのだろう?と恨みがましい気持ちになることもあった。

 でも手に入らなくて当然だ。なぜなら――。

(私が望んでいたものは誰かとセックスをすることじゃなかったんだ)

 環が本当に欲しかったのはこれだ。好きな人に愛されて、求められる経験。

(大好きな人に、要先生に抱いてほしい)

 高史郎はふっと目を細めて、環の頭をポンポンと叩く。

「そういうわけだから急ぐ必要はない。君に苦痛を与えるのは俺が嫌だ」

 スッと離れていってしまいそうになる彼の身体を環は慌てて繋ぎ止める。

「環? 本当に無理しなくていいから」
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