この恋、温め直しますか？ ～鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い～

　それを彼に説明しようとしたとき、環のスマホが振動した。
「ごめんなさい」と高史郎に短く告げて応答する。相手は彩芽だった。
「彩芽ちゃん？　どこにいるの、大丈夫?」
　わずかな沈黙のあとで彼女の声が届いた。
『ごめんなさい、恋人が迎えに来てくれたのでもう平気です』
「えぇ?」
　一瞬、ストーカーにつかまって脅されているのでは？という最悪の想像も頭に浮かんだが彼女の声にもスマホから伝わる空気にもそこまでの緊迫感はない。コンビニにでもいるのか、店員が接客をしている声も漏れ聞こえた。
「とりあえず一度会えないかな？　例の彼がどうしたのかも気になるし」
　彩芽の無事をこの目で確かめたい気持ちもあってそう提案したけれど……。
『すみません。彼が呼んでるので行かないと』
　そのままプツリと電話は切れてしまった。
　誰に見られても問題ない、駅前のチェーン店のカフェに移動して高史郎に事情を説明する。
「やっぱりストーカーとなにかトラブルになったんじゃ……」