この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「昨年度までは彼女が、今年度は私が担当させてもらっている開業医の先生がこぼしていました。速水さんからそういう誘いを受けて困ったことがあると」
環は大きく見開いた目で武人を見つめたが、彼の視線がこちらを向くことはなかった。
「それに藤原さんの証言もありますから」
武人は隣の彩芽に話をするよう促す。
彼女はほんの一瞬ためらうように口元の動きを止めたけれど「藤原さん」と言う武人の声に押されてぽつりと言葉を落とした。
「速水さん本人から……聞きました」
彼女はなにを言おうとしているのだろう?
「優秀な成績の秘訣を聞いたら……つまりその……色仕掛けだって」
「藤原さんは派遣社員、ある意味部外者だ。それで速水さんも気が緩んでうっかり秘密を暴露してしまったんじゃないでしょうか」
もっともらしく武人が結論づける。その態度で確信が持てた。
(この一件の首謀者は菊池さんだったんだ)
彩芽が仕掛けたことかと思っていたけれど、彼女と武人の力関係の差はあきらかだ。
主導権を握っているのは武人のほう。
環は大きく見開いた目で武人を見つめたが、彼の視線がこちらを向くことはなかった。
「それに藤原さんの証言もありますから」
武人は隣の彩芽に話をするよう促す。
彼女はほんの一瞬ためらうように口元の動きを止めたけれど「藤原さん」と言う武人の声に押されてぽつりと言葉を落とした。
「速水さん本人から……聞きました」
彼女はなにを言おうとしているのだろう?
「優秀な成績の秘訣を聞いたら……つまりその……色仕掛けだって」
「藤原さんは派遣社員、ある意味部外者だ。それで速水さんも気が緩んでうっかり秘密を暴露してしまったんじゃないでしょうか」
もっともらしく武人が結論づける。その態度で確信が持てた。
(この一件の首謀者は菊池さんだったんだ)
彩芽が仕掛けたことかと思っていたけれど、彼女と武人の力関係の差はあきらかだ。
主導権を握っているのは武人のほう。