この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
その後、環は仕事の引継ぎという名目でそのまま応接室で武人とふたりきりになった。
彼はこれまでとは別人のように豹変しニヤニヤと環を見おろす。
「これで俺がナンバーワンだ」
「私を蹴落とすためだけにこんなマネを?」
武人は答えない、でももう答えを聞く必要もない。
「患者さんにいい薬を届ける、私たちは同じ目標を持った同志だって……あの言葉も嘘だったんですか?」
「顔も知らない患者なんて知るかよ」
なにがおかしいのか、彼はおなかを抱えて笑った。
「俺がMRをしているのは単に給料がいいからだ。あんたから奪った新薬の実績で、今度はより給料のいい外資系の製薬会社に転職する。あんたもこの会社も俺にとっては踏み台でしかない」
自分にはともに頑張る仲間がいるのだと、彼の言葉を嬉しく思っていたのに。
罠にはめられた以上にあの言葉が偽りだったことがショックだ。
膝の上に置いた環のこぶしが悔しさに震える。
「彩芽ちゃんの婚約者は菊池さんだったんですね。だから彼女はあなたに協力を?」
彩芽は彼のために動いている、そんなふうに見えた。
もしかしたら環がそう思いたいだけかもしれないが。
「そう思ってるのはあいつだけだけどな。低収入の地味女、あんな不良債権を誰が引き取るんだよ。あんたの近くにいて、一番騙されやすそうな馬鹿女を選んだだけだ」
「――最低っ」
環はキッと彼をにらむ。
こんな男をずっといいライバルだと信じていた自分が情けなかった。
「残念だけどなぁ、最低な人間ほど出世するのがこの業界だろ」
彼はこれまでとは別人のように豹変しニヤニヤと環を見おろす。
「これで俺がナンバーワンだ」
「私を蹴落とすためだけにこんなマネを?」
武人は答えない、でももう答えを聞く必要もない。
「患者さんにいい薬を届ける、私たちは同じ目標を持った同志だって……あの言葉も嘘だったんですか?」
「顔も知らない患者なんて知るかよ」
なにがおかしいのか、彼はおなかを抱えて笑った。
「俺がMRをしているのは単に給料がいいからだ。あんたから奪った新薬の実績で、今度はより給料のいい外資系の製薬会社に転職する。あんたもこの会社も俺にとっては踏み台でしかない」
自分にはともに頑張る仲間がいるのだと、彼の言葉を嬉しく思っていたのに。
罠にはめられた以上にあの言葉が偽りだったことがショックだ。
膝の上に置いた環のこぶしが悔しさに震える。
「彩芽ちゃんの婚約者は菊池さんだったんですね。だから彼女はあなたに協力を?」
彩芽は彼のために動いている、そんなふうに見えた。
もしかしたら環がそう思いたいだけかもしれないが。
「そう思ってるのはあいつだけだけどな。低収入の地味女、あんな不良債権を誰が引き取るんだよ。あんたの近くにいて、一番騙されやすそうな馬鹿女を選んだだけだ」
「――最低っ」
環はキッと彼をにらむ。
こんな男をずっといいライバルだと信じていた自分が情けなかった。
「残念だけどなぁ、最低な人間ほど出世するのがこの業界だろ」