この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 環は思わず自身の胸元をグッとつかんでいた。

 どんな理由があったとしても彩芽のしたことは許せない。

 けれど結婚しようと思うほど好きになった相手にそんな仕打ちを受けた彼女の痛みは……どれほどのものだっただろうか。

「あ、あれは」

 弁解しようと声をあげたもののなにも思いつかなかったのだろう。

 武人の口はポカンとまぬけに開いたままだ。

「いいんです。むしろそれを聞いて目が覚めました。今の自分は彼の言うとおり本当にどうしようもない馬鹿だなって」

 彩芽は真実を確実にあきらかにするために、緑邦大病院チームのみんなにまずは相談した。

 ちょうどその頃、彼らと高史郎は環を救うべく証拠を集めているところだった。

 はからずも彩芽が手にしていた武人との通話記録は渡りに船となったようだ。

「この……役立たずのクソ女っ」

 逆上して彩芽につかみかかろうとする武人に部長の怒声を飛ぶ。

「いいかげんにしろ、菊池くん! これ以上……我が社の名誉を汚すな」

 武人はハッとして、そこでようやく自分の状況を理解したのだろう。

 すべてを諦めたように力なくうなだれた。

 その頭上に高史郎から冷静な言葉が落とされる。
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