この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「君が彼女に勝てない理由がよくわかるな。少なくとも俺は……自分の患者を君のような人間には絶対に任せたくない」

「部長、これを」

 チームのひとりが部長にファイリングされた資料を渡す。

「こちらにいる要先生以外にも緑邦大病院のドクターから様々な意見をいただいています。そのほとんどが現在の菊池さんではなく前任の速水チーフに担当を戻してほしいという意見です」

 前任のMRに比べて知識も熱意も足りない、ご機嫌取りだけの営業は求めていない、今の担当のままなら正直他社の薬に切り替えようかと思っている。

 この二週間でそんなクレームが届いていたようだ。

 高史郎も部長に顔を向け、補足する。

「知り合いのとある開業医もこちらの彼に苦言を呈していました。なんでもグレーゾーンの接待や寄付金の話ばかりしてくるとかで……必要あればお繋ぎするので、直接話を聞いてみてください」

(知り合いのとある開業医……)

 環の脳裏にある先生の顔が浮かぶ。

 先日、緑邦大病院内で偶然会って武人に困っていると漏らしていた彼だ。

 あの先生も緑邦大の出身なので高史郎と顔見知りでもおかしくない。
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