この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 でも、この結末は大好きだったあの映画よりずっとずっと環の胸を熱くする。

「……もうっ、みんなしてそんな泣けること言わないでくださいよ」

 あふれそうになる涙をこらえようと環は慌てて目頭を押さえた。
 
 そしてその夜。

 高史郎の部屋で環は彼に向き直る。

「……本当にありがとうございました。私、あんなに身勝手に別れを告げたのに」

 正直、さすがの彼も呆れ果てて別れを受け入れたものと思っていた。

 高史郎はクスリと笑って環の頭にポンと手を置く。

「君はどうしようもなく頑固で面倒な女だが……実はその点では俺も負けていない。君を諦める気など毛頭なかった」

 突然のさよならにはなにか理由があるのだろうと察してくれていたらしい。

「環のことだから、俺に迷惑をかけたくないとか……くだらないことを考えていたんだろう?」

「くだらなくはないですよ! 要先生のキャリアにはたくさんの患者さんの命が懸かっているんですから」
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