この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 彼が自分を必要としてくれている、その事実が途方もなく嬉しい。

「はい、約束します」

「うん」

 ホッと心から安心したように彼がほほ笑む。

 かわいくて、かっこよくて、環の頬はだらしなく緩んでしまう。

「要先生」

「ん?」

「愛してます」

 そう宣言して環は彼の頬に唇を寄せた。

 みるみるうちに赤く染まっていく高史郎の顔を眺めて、環は長い長い初恋が実った幸せを噛み締める。

(今度こそ、今度こそ、要先生と幸せな恋をするんだ)

「環」

 照れた瞳の奥で彼の熱情が燃えあがる。

「要先生からの返事は聞かせてもらえないんですか?」

 クスクスと笑って小首をかしげると、彼の大きな手が環の後頭部に回りグッと顔が近づいた。

「そういうのは苦手分野だから、行動で示してもいいか?」

 環が答えるより先に甘いキスが落ちてくる。

 この返事はちょっとズルいと思うものの、差し入れられた舌の熱さにあっという間に酔わされてなにも考えられなくなってしまう。

「ふっ、んん」

「環の二度目も三度目も全部、俺のものにしたい」

「もらってください。二度目も三度目も全部……」
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