この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
「速水さんにひどいことをした報いが返ってきただけですから。むしろ速水さんはどうして私を訴えないんですか?」
自分の望みは仕事を続けること。
それが叶った今、彩芽や武人にこれ以上の罰を受けてほしいとは思わなかった。
その気持ちをそのまま伝えると彩芽はクスリと笑う。
「ほんとにお人好しですよね、速水さんは」
泣き笑いみたいな顔になって彼女が言葉を紡ぐ。
「今さらですけど、速水さんに憧れていた気持ちは本当だったんです。綺麗で優しくてかっこよくて……私はあなたになりたかった」
「彩芽ちゃん」
約束だったはずの正社員の話が確定事項ではなくなった。
彼女の派遣コーディネーターはそれをうすら笑いで彩芽に伝えたのだそうだ。
『あ~、その話ね。今、アスティー製薬さんに三人いる派遣さんのうちひとりが選ばれることになりそうかな? まぁ決めるのは先方で僕じゃないけど、藤原さんは印象薄いからなぁ。もっとがんばったほうがいいかもね!』
その瞬間に自分を支えていた糸が切れてしまった、彩芽はそんなふうに語った。
「私は懸命にがんばっても速水さんにはなれない。それがわかってしまって……憧れは妬みに形を変えました」
自分の望みは仕事を続けること。
それが叶った今、彩芽や武人にこれ以上の罰を受けてほしいとは思わなかった。
その気持ちをそのまま伝えると彩芽はクスリと笑う。
「ほんとにお人好しですよね、速水さんは」
泣き笑いみたいな顔になって彼女が言葉を紡ぐ。
「今さらですけど、速水さんに憧れていた気持ちは本当だったんです。綺麗で優しくてかっこよくて……私はあなたになりたかった」
「彩芽ちゃん」
約束だったはずの正社員の話が確定事項ではなくなった。
彼女の派遣コーディネーターはそれをうすら笑いで彩芽に伝えたのだそうだ。
『あ~、その話ね。今、アスティー製薬さんに三人いる派遣さんのうちひとりが選ばれることになりそうかな? まぁ決めるのは先方で僕じゃないけど、藤原さんは印象薄いからなぁ。もっとがんばったほうがいいかもね!』
その瞬間に自分を支えていた糸が切れてしまった、彩芽はそんなふうに語った。
「私は懸命にがんばっても速水さんにはなれない。それがわかってしまって……憧れは妬みに形を変えました」