この恋、温め直しますか? ~鉄仮面ドクターの愛は不器用で重い~
 多様性の時代になり、結婚がすべてじゃないと誰もが言う。

実際、三十代の独身男女は都内なら珍しくもなんともない。

 けれど、異性とまともに関係を築けない自分は未成熟な大人なんじゃないだろうか?

 そんなふうに考えて、たまらなく不安になる夜があるのだ。

 これも親友の言葉ではあるが……。

『そういうのね、こじらせてるって言うのよ』

 ネックレスの細いチェーン、あるいは痛みきった髪の毛。複雑に絡まったそれは、ほどこうとすればするほど余計に悪化してどうにもできなくなってしまう。

 環の処女コンプレックスはちょうどそんな状態。ひたすら見ないふりをして、ないものとして時をやりすごすよりほかにない。

(私が絡まり出した最初の引っかかりは……間違いなくアレだ)

 その元凶が今、なんでもない顔をして自分の前に立っている。

(要高史郎。もう二度と会うことはない、ううん、会いたくないと思っていたのに)



  



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