ドSな彼氏が校門で待っていたので素通りしたら…
わざとだ。私がこの顔をされると弱いことを知ってわざとやってる。
分かっていながら咲夜くんの策にまんまと引っかかる私がいる。

咲夜くんが顔を少し傾けて、形のいい唇がゆっくりと近づいてくる。
咲夜くんの甘い吐息が顔にかかり、あともう少しで口が触れるというところで、ドアが開く音がする。

2人ともビックリしてドアを見ると、これまた咲夜くんに負けず劣らずの端正な顔をした男性が立っている。

「兄貴、ノックもなしに入ってくんじゃねーよ」

青筋を立てた咲夜くんが怒りを露わにしている。

「ノックしたよ〜。咲ちゃんが彼女に夢中で聞こえてなかったんじゃない?加奈ちゃん、大丈夫?家に帰ったら加奈ちゃんの悲痛な声が聞こえるから只事じゃないなと思って〜」

そう言う割には顔がニヤけてるけど。  

「お前わざとだろ。部屋の外でタイミングを伺ってたな」

「やだな〜、人聞きの悪い。おっ、加奈ちゃんセクシ〜。もしかしてそういうプレイだった〜?」

はっ!慌ててシャツを手繰り寄せる。

「咲ちゃんに嫌なことされたら言ってね〜。お兄ちゃんがメッ!するから〜」

「出てけよ、バカ兄貴!」

そう言ってお兄さんを部屋から追い出す。
さっきまでの甘い雰囲気は消えて、咲夜くんが大きなため息をつきながらベッドに腰掛ける。

相変わらず嵐のような人だ。
咲夜くんのことが大好きで、からかうのが楽しいらしい。
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