この恋は妄想じゃありません
こっそり死角に隠れて、中庭の乃愛ちゃんを見る。



これ盗み聞きだよね、人の告白隠れて見るなんて最低だ私。



3分くらいしたら、中庭に瀬名くんが現れた。



「ねぇ莉紗先輩見なかった?」



は?と声が出てしまいそうになる。



「見てないけど」


「そっか、で話って?早めに終わらせてくれると助かるんだけど」



うーんと悩ましい顔をして、瀬名くんは乃愛ちゃんの前に立つ。




「三琴くん、私三琴くんのことが好きです。付き合ってください」



でも、案外すらすらと乃愛ちゃんは瀬名くんに告白した。



な、なんか見てるのが辛いよ。



自分の彼氏が取られそうになっているんだもん、普通の顔して見てられない。



気づけば私は自然と二人の間に飛び出してしまった。



「せ、瀬名くん。付き合わないで!」



あぁ言っちゃった!



これ絶対瀬名くんにも乃愛ちゃんにも嫌われちゃうやつだ。



静かに影から見守ってようって決めてたのに。
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