鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
揺らぐ気持ち
表向きはこれまで通りに、だけどこれ以上つらくならないよう、心を彼に寄せすぎないよう毎日を過ごした。
厳しい言葉を投げつけられたあの日以来、亜香里さんは私に連絡をしてこなかった。
悠生さんにはしているのだろうと思うと、どうしようもなくつらい。だけど彼に彼女とのやり取りがあるのかは聞けないし、あったところでやめろとも言えなかった。
そしてあれからひと月が経ったある日の夜、珍しく悠生さんが私の部屋のドアをノックした。
「少し、話さないか」
彼が自分からそんなふうに言ってくるのは初めてだった。