鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 込み上げたあの感情はいったいなんなのだろう。一番しっくりくるのは愛おしさだろうか。

 彼女を泣かせたくない、守りたい、支えたい、寄り添いたいとあんなにも強く思ったのは初めてだ。

 自分でも驚くほど強く、律に対して特別な感情が芽生えている事実を思い知らされる。

 いや、今さら芽生え始めたものではない。ふたりでデートをした時に交わしたやり取りから、両親との顔合わせをした時から――それよりももっと前からか。再会する以前、初めて出会った過酷な災害の現場で、もう彼女を目で追っていた気がする。

 俺はずっと、律を好きだったのだ。

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