鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 そんな私が特別な人を見つけられたのだ。この想いを宝物として抱いておきたいと思うくらい、許してほしい。

 鍋を混ぜていたおたまを引き、小皿によそってスープの味見をする。

 もう少し塩を足したほうが味がはっきりしそうだ。

 胡椒も入れるとぴりっと刺激が出ておいしいだろう。そう考えて味を調える。

 仕上げに乾燥したパセリを散らすと、ほんの少し高級感が増した。

 ほっこりする香りが漂う中、鍋に蓋をする。悠生さんを迎える準備が整い、ほっと肩の力が抜けた。

 あとはそれぞれ温めて食べるようメモ書きを残せばおしまいだ。適当な紙はないかと探していた時、玄関のほうで物音がした。

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