鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 無言で帰宅した悠生さんは、リビングで出迎えた私を見て不思議そうな顔をした。どうやらまだ起きていると思っていなかったらしい。

 料理に夢中で気づかなかったけれど、時計を見ると既に日付が変わっている。

「いい香りがする」

 ぽつりと言った彼は疲れた顔をしていた。半分眠っているようにさえ見える。

「今作ったばかりなんです。スープをよそうので、ちょっと待ってくださ――」

 キッチンに向かおうとした瞬間、後ろから抱きしめられた。

 驚きと戸惑いで息が止まる。

 これまで男性を前にした時のような恐怖はなかったけれど、代わりに彼に抱きしめられているという事実にうろたえた。

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