鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 驚いて身体が強張るも、これは以前のようなトラウマのせいではない。

 まさか彼が人前でこんな真似をするとは思わなくて動けなくなっただけだ。

「ゆ、悠生さん」

「おかえり。……おかえり」

 噛みしめるように言うと、悠生さんは私の肩口に顔を埋めた。その声からは安堵を強く感じ、私もやっと帰ってこられたんだと緊張が解ける。

「君がいない間、どれだけ寂しかったかわかるか」

 悠生さんが私を腕の中に閉じ込めたまま言う。

「あの家をあんなに広く感じたのは初めてだ。どこにも君がいないのが、つらかった」

「私、も……」

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