鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
「初めまして、羽白康生です。律さんのお話は兄から聞いています。同い年だそうで」

「そうなんですね。よろしくお願いします」

 声も康生さんのほうが温かみがある。

 悠生さんが小児科医に向かない医者なら、彼は小児科医が天職と言ってもよさそうだ。以前、心臓外科医だと聞いたから、残念ながら子どもたちと接する機会はそう多くないだろうけれど。

 それでも彼のこの温かさは、不安を感じる患者たちの心をやわらげて安心させるに違いない。

 私と悠生さんが椅子につく前に、康生さんがさらに続ける。

「首藤さんからいろいろ話を聞いてたよ。律さんについて」

「信じていないと思うが、律に対する話は全部嘘だ」
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