鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
すかさず悠生さんが言うと、康生さんは肩をすくめた。
「律さんのことだけじゃないでしょ。あの人、前から兄さんのことも好き勝手言っていたよ」
以前は威圧感さえ感じた悠生さんの両親が、今日は妙におとなしい。
「既にコピーは送っておいたが、その様子だと目を通したようだな」
悠生さんはそう言って、以前亜香里さんに見せたものと同じ封筒をテーブルの上に置いた。
「俺も見せてもらったよ。兄さんたちを待とうかと思ったけど、そのほうが話が早そうだしね」
康生さんが軽く肩をすくめて言う。
「俺と結婚させようとしていた亜香里の調査報告書だ。……そういえば律には見せていなかったな。見ていいぞ」