鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
「外で済ませたほうが早いしな。家で食うとしても、手間をかけなくて済むパンやおにぎりにしがちだ」

「ということは、朝ご飯は簡単に食べられるもののほうがいいですか?」

「別に気を遣わなくても」

「これから妻をやるのに、気を遣わないわけにはいきません」

 フライパンを回して溶けたバターを広げる。ふわっといい香りがして、空腹を刺激された。

「たしかに夫婦でいるよう頼んだのは俺だが、家にいる時は自由にしていい。どうせ誰も見ていないんだから」

「だけど普段から他人のように過ごしていたら、咄嗟の時にも他人として振る舞ってしまいそうで。なにより、これは私の訓練でもあります」

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