鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 卵液につけておいたパンを熱したフライパンにのせると、じゅっと小気味いい音が響いた。さっきまでよりも濃厚なバターの香りが漂い、自然と口もとに笑みが浮かぶ。

「訓練?」

「はい。男性に慣れる訓練です。克服したら私も普通に恋愛をして、結婚するかもしれませんしね」

「失礼な質問になったら申し訳ない。……これまで、恋愛経験は?」

「学生時代に一度だけ。でも、一週間で別れました」

 キッチンの入口の壁にもたれていた羽白さんが、意外そうな顔をする。

「なぜ? 君ならうまくやっていけそうなのに」

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