鉄仮面の自衛官ドクターは男嫌いの契約妻にだけ激甘になる【自衛官シリーズ】
 話はまとまっていないし、なにも解決していないけれど、これ以上は進展がないと察して帰ることを選択したのだろう。

 彼の両親の考え方はともかく、由緒正しい家のために最善を尽くしたい意思は感じたから、うまく着地点を見つけられたらよかったのだけれど。

 ただ、私がすぐにトラウマを克服できないように、この親子の深い溝は簡単には埋められなそうだ。

「今日はありがとうございました。……失礼な物言いをお許しください」

 ドアを開けてくれた悠生さんに続く前に、それだけ言ってふたりに頭を下げる。

 それぞれの視線を受け止めることはできなかったが、最低限の義理は果たしたかった。



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