きみの本気は分かりづらい
「じゃあ、むくちゃん
お風呂上がったら、ロビーで待ってるね」

「…うん」



そう言い残して
ゆう兄は男湯ののれんをくぐっていった



……ゆう兄、どう思ってるんだろ


仮にも、好きな相手とお泊まりだよ…?



朝、家に来た時も
車内でも、旅館に着いてからも

どこか落ち着かない私とは違って
ゆう兄は至って平静だった



………いや、まあ、ふたりきりではないし
同じ部屋に寝泊まりするわけでもないんだけど…



いつもと違う場所で

いつもとは違う時間を

好きな人と一緒に過ごせることに


戸惑いながらも、私は、舞い上がっているのに…



「………ずるい」



普段から思ってはいたけど
ひとりだけ、余裕そうなのが気に入らない

私だけが、意識してるみたいで悔しい


謎の対抗心が湧き上がり、ひとりむくれる



「………お風呂、入ろ」



荒(すさ)む心を癒すため
私も女湯ののれんをくぐった
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