きみの本気は分かりづらい
「むくちゃん」

「っ」



布団を引っ張り
私をその中から引きずり出そうとする

そんな、ゆう兄に
真っ赤になってる顔を見られまいと

私は必死に抵抗する



けど



非力な私の抵抗は、ほんの数秒で終わる




「「……」」




ゆう兄と視線がぶつかる



私から、ふとんを剥ぎ取ったゆう兄は
その中で、全身ゆでダコ状態だった私を
見おろして、目を見張った




「……むくちゃん」

「…」

「お願い。もう一回」

「…」




恥ずかしくて
顔を直視できず、目を逸らす私

そのまま、シーツに顔を埋めようとしたけど

でも、ゆう兄は
それを許してくれなかった



「!」



少しだけ、強引に私の顔を持ち上げて
自分の方へ向かせると



「お願い。むく」



真剣な眼差しで、私に懇願する



「~~~っ」



あまり見ない、その表情に


普段聞かない、低くて甘い、その声に



どくんどくん、と



私の鼓動は激しく高鳴る
< 147 / 165 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop