憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
もしかして今まで、それで彼女に呼び出された経験でもあるんだろうか。

「Gはあれですけど、なにかあったときはよろしくお願いします」

ぺこんと感謝を込めて軽く頭を下げる。

「うん。
てか井ノ上さん、ゴキブリって言うのも嫌なタイプ?」

「ううっ。
ダメなんですよー、アレ」

昔は平気で、丸めた新聞紙で叩き潰していた。
けれど実家で昼寝をしていたときにカサカサと手のひらの上を這っていかれたまではまだよかったが、足下へ回ったヤツはブーンと嫌らしい羽音を立てて私の身体を縦断していった。
そのおぞましさからそれ以来、ダメになってしまったのだ。

「そうなんだ、なんか意外。
井ノ上さんって思いっきり、足で踏み潰しそうっていうか」

「私ってそういうイメージなんですか?!」

なんだかんだ言っているうちに駅に着いた。
隣が上司、しかも彼女ありとか気を遣って嫌だなとか少し思っていたが、宇佐神課長はいい人なのでここに越してきてよかったかもしれない。



一週間が何事もなく過ぎていく。
しばらくはあのストーカーに引っ越し先を突き止められていたらどうしようと怯えたが、その気配もない。
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