憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
それが正解だというのはわかっているが、なかなか唇が動かない。

「……いえ。
私もすみませんでした」

それでもなんとか謝罪の言葉を口にする。
けれどふて腐れている顔を見られたくなくて、申し訳なさそうに頭を下げるフリをして俯いた。
私ってこんなに、醜い人間だったんだ。
知りたくない事実を知り、さらに気持ちが重くなっていく。
どうにか平静を取り繕ったが、ふたりには見透かされている気がした。

その後もCOCOKAさんは必死に盛り上げようとしてくれたが、なんとなく気まずいまま一時間ほどで食事は終了した。

「また、誘ってもいいですか」

店の前でCOCOKAさんが聞いてくる。
会計は龍志がし、しっかり領収証をもらっていたので、やはり今日のこれは接待なのだろう。
なのにあんな態度を取ってしまって申し訳ないという気持ちはあるが、それでも私は冷静でいられなかった。

「あー。
……そう、ですね」

曖昧に答え、龍志が笑みを浮かべる。
どうしてきっぱりと迷惑だからと断らないんだろう。
今日はずっとCOCOKAさんを気遣っていたし、そういう意味なんだろうか。

「よかった。
今日は楽しかったです。
じゃあ」

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