憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
会釈して彼女がちょうど到着したタクシーに乗る。
あれで楽しかったと言える彼女のほうが、今日の私よりも立派な社会人だ。
それにしても龍志は彼女を送っていかなくていいんだろうか。

「ほら、帰るぞ」

私の腕を掴んで彼は待機していたタクシーに私を押し込んだ。

「なあ。
なんでそんなに、機嫌が悪いんだ。
仕事だろ、仕事」

タクシーが走りだした途端、彼が聞いてくる。
私があんな態度ならば、上司として説教してくるのは当然だ。

「……すみません、でした」

「謝りゃ済むと思ってるだろ。
ちゃんと理由を言え、理由を」

図星を指され、なにも言えなくなる。
黙っていたら呆れるように彼はため息をついた。

「映画の予定を勝手に変えて悪かった。
でも、仕事だろ」

そんなのわかっているし、それ自体は別に怒っていない。
ただ、相手がCOCOKAさんで龍志のあの態度が嫌だったのだ。

「……仕事なのくらい、わかってます」

「だったらあの態度はなんだ?
七星らしくない」

上司として当たり前の言葉だとわかっている。
けれどそれが、妙に私の神経に障った。

< 197 / 470 >

この作品をシェア

pagetop