憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
女性社員が去っていった直後、宇佐神課長から社内メールが届いた。
それには恐ろしいほどの指示が書いてある。
課長席の彼を抗議の目で睨んだが、彼は素知らぬ顔で目を逸らし鞄を掴んで立ち上がった。

「じゃあ、私は外回りに出てきますので、あとよろしく頼みます」

私の席の後ろを通る際、彼が肩をぽんぽんと軽く叩く。

「頼りにしてるぞ」

小さく囁いて彼は出ていったが、あれを訳すと「これくらいできるだろ」
だ。
私も彼の正体を知らなければ、あの宇佐神課長に頼られているとやる気になれたのに。

今日も遅い時間まで残業していたら、外回りからようやく宇佐神課長が帰ってきた。

「なんだ、まだいたのか」

意外そうに言われ、ブチッとこめかみの血管が切れた気がした。

「お言葉ですが宇佐神課長こそ、こんな時間にお戻りなら直帰なさればよかったのでは?」

私の声は嫌みがかっていたが、仕方ない。
だって本当に、嫌みだし。
私もそろそろ帰ろうかと思っていて、他に残っている人間はもういない。

「そーだな、ちょっと忘れ物してさ。
これがないと週末、安心して過ごせない」

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