憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
目的の人たちは居間の隅で小さくなっていた。

「義姉さん」

まだ三歳の息子を抱いて心細そうにしていた彼女は、俺の顔を見て少しだけ表情を緩めた。

「ここにいては気が休まらないだろ。
こっち」

「でも、あの」

戸惑う彼女を立たせ、自分の部屋へと連れていった。

「自由に使って」

「ありがとう、龍志さん」

うとうととし始めていた息子をベッドに寝かせ、義姉はようやくほっとしたようだった。

「その。
……事故って?」

勉強机の椅子を引き寄せ、ベッドに腰掛ける彼女の前に座る。

「横断歩道のないところを渡ろうとして、トラックに轢かれた、って。
コンビニへ行こうとしてたんじゃないかって言われたの」

言いにくそうに彼女が目を伏せる。

「……そう」

それは兄らしくない気がした。
あの人はとにかく、融通がきかないほど真面目な一面があるのだ。
そんな彼がたとえコンビニへ行くためでも、横断歩道のないところを渡るなんて考えられない。

……もしかして、自殺なのか。

そんな考えが掠めていき、慌てて追っ払うように頭を振った。

「これからは兄貴の代わりに俺が義姉さんたちを守るよ。
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