憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「その。
変わった、って?」

そういう家にすっかり染まりきって、傲慢になってしまったのだろうか。
いや、だったら義姉さんを守るために結婚したいなどと龍志が言うはずがない。

「七星とは対照的な、おとなしくて控えめだったけど、よく笑って朗らかな人だった。
でも、兄貴と結婚して母と父の圧力で常におどおどして自分の意見を言わなくなった。
子供を取り上げると言われても、皆さんの取り決めに従います、って」

「ああ……」

それはなんとなくわかる、かも。
他部署の同期がパワハラにさらされて以前、精神を病んで辞めた。
きっと、そういうことなのだ。

「だからごめんな。
七星もだけど、他の人間ももう、同じ被害者にしたくない」

「龍志は優しいですね」

甘えるように肩をぶつける。
こんな素敵な人だから好きになった。
私の旦那様は世界一なのだと、誇らしくなった。

「なー」

また、隣りあう手を握りあって画面に流れる映画をぼーっと観ていたら龍志が口を開いた。

「最後に弱音、吐いてもいいか。
いや、最後に弱音を聞かせるのはあれだけど」

「いいですよ」

促すように肩をぶつける。
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