憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
まだそのままにしてある、前のマンションに向かいながら兄の口から出た事実に驚いて尋ねていた。

「アイツ、言ってないのか?
あのストーカー男の親の会社に、父親から圧力をかけてもらったんだ。
もし、息子がなんかしたら取り引きをやめるぞって。
その代わり、三十になったら実家に帰ると約束したらしい」

「そんな……」

龍志が実家へ戻った理由を知って、目の前が真っ暗になった。
彼は私のためにせっかく掴んでいた自由を捨てたのか。
私が彼を、地獄へ送り出してしまった。
言ってくれればそんな約束、させなかったのに。
いや、反対しても彼は父親とそういう約束をしていただろう、龍志はそういう人だ。
それにそれだけ、そんなに前から私を大事に思っていてくれたのだと気づいた。

「お兄ちゃん。
もう言ったけどさ、私、絶対に龍志を取り戻す。
だから、協力してくれる?」

龍志が実家へ行って帰ってこなかった一週間。
いろいろ、考えた。
それで、このまま帰ってこないのなら龍志を取り戻しに行こうと決めていた。
一時的とはいえ龍志は帰ってきたわけだが、いろいろ話して、その気持ちはさらに強くなった。
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