憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「あー、七星、細っこいもんな。
じゃあ、無理のない範囲で食べろ。
あ、味噌汁だけは完食な」

全部食べろなど言わず、理解してくれるところは大変ありがたい。
が、箸で人を指してくるのはお行儀が悪いですよ。
まあでも、ややもすれば私たちとは違い育ちがよさそうな課長だが、こういう面を見ると普通の人なんだなとなんかほっとする。

朝食を済ませ、身支度を調えてマンションを出る。
道に出てなんとなく、宇佐神課長に身を寄せていた。

「朝もいるのか?」

「……たまに」

「んー」

さりげなく、課長が周囲を見渡す。

「おっ、いたわ」

それを聞いてびくっと身体を震わせていた。
まるで見せつけるかのように彼が、私と手を繋いでくる。

「もしかしたら昼夜逆転生活してるのかもな。
七星が会社から帰ってくる頃に起きて、出勤を見届けて会社に行っているあいだ、寝てる」

「そんなまさか」

だってその生活だと、仕事をする暇がない。
私が眠っているあいだに働いている可能性も捨てきれないが、それでも生活ができるほど稼げるのか怪しい。
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