憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
ああでも、今は転売ヤーとか限りなく黒に近いグレーの仕事もあるし、そういうのとか?

「ありえるだろ。
昨日の夜も一昨日の夜も、七星が怯えるといけないから黙ってたが、外見たらアイツ、いたぞ」

「ひっ」

足が止まりかけた私の手を、宇佐神課長がさりげなく引っ張って歩くように促す。
おかげで不自然に見えてはいないはずだ。

「警察行って早く片をつけるぞ」

ぎゅっと繋いだ彼の手に、決心かのように力が入る。
それだけで安心できた。

今日の宇佐神課長はいつも以上に忙しそうだった。

「おつかれさま、です」

お昼を食べる暇もなさそうな彼にコーヒーショップで買ってきたサンドイッチとコーヒーを差し入れする。
きっとこんなに多忙なのは私のせいだ。
警察に行く時間を作ろうと頑張ってくれている。

「おっ、サンキュー」

私の顔を見上げ、彼はにぱっと笑った。

「今日はちょっと無理そうだけど、明日は必ず警察連れていってやるから安心しろ」

そう言いながら彼は、サンドイッチを囓りつつパソコンのキーを打っている。

「その。
ひとりでも大丈夫なので。
明日、午後休をいただけますか」

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