憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「すまん、先方が飲みに誘ってくるもんだから、振り切って帰るのが大変で」

自分の席に行き、彼はパソコンを立ち上げている。

「まだやらなきゃいけない仕事があるんだ。
ここまで待たせておいてなんだが、七星はタクシーで先に帰れ」

課長が手招きするので近づくと、財布から一万円札を引き抜いて差し出してきた。

「えっ、いいですよ!
それより仕事、手伝えることはないですか」

「いや、しかし……」

私の申し出で課長が渋い顔になる。
もう八時を過ぎたし、部署に残っているのは私たちだけになっていた。

「ふたりでやったほうが早く終わるじゃないですか。
コピーでもなんでも命じてください」

「助かる。
ありがとう」

「いえ。
で、なにからやれば?」

私の顔を見た課長は笑ってくれて、ほっとした。

指示をもらい、自分の席に戻って作業をする。

「なあ。
晩メシ、なにが食べたい?
遅くなったし食べて帰ろーぜ」

目はパソコンに向けたまま、課長が話しかけてくる。

「そうですね……。
うどんとかどうですか」

きっと断っても課長は作りそうなので、そこは乗っておいた。
< 66 / 414 >

この作品をシェア

pagetop