憧れの上司は実は猫かぶり!?~ウブな部下は俺様御曹司に溺愛される~
「けれど本人が実行に移すかどうかはお約束できません。
申し訳ない」

本当にすまなそうに笹西さんが頭を下げる。
が、そうなったときに責められるべきは彼ではなく市崎だ。

「できれば、引っ越しをして仕事も変えることをオススメしますが……」

そうか、やはりそうなるのか。
俯いて硬く唇を噛みしめた。
引っ越すのは別にかまわない。
それで無駄なお金がかかるのは腹立たしいが、安全を買うためなら仕方ない。
しかし、仕事を変わるのは嫌だ。
私はこの仕事が好きだし、職場の居心地もいい。
それに今は、大きなキャンペーンにも携わっている。
なのに仕事を辞めれなんてあんまりだ。

「大丈夫だ。
俺が絶対に守る」

ぽんぽんと宇佐神課長が私の頭を軽く叩く。
顔を上げてレンズ越しに目のあった彼は、力強く頷いた。

「仕事を辞める必要はない。
引っ越しだってしなくていい。
俺が七星を守る」

強い決意で光る彼の目は少しも揺るがない。
その気持ちは嬉しいけれど。

「でも、でも!
もしかしたら次は……!」

宇佐神課長が刺されるかもしれない。
彼の頬に視線を向ける。
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