同期の姫は、あなどれない
 賢吾とは水曜日の夜からメッセージのやりとりもしておらず、電話をするのも1週間ぶりだ。

 スマートフォンの画面を開き、テレビ電話とどちらにしようか迷って、自分の格好がゆるい部屋着とすっぴんだったことを思い出し、普通の通話ボタンを押した。

 「おう、どうした?」

 数回のコールのあと、賢吾が出た。
 寝起き直後の不機嫌な声でないところをみると、すでに起きていたようだ。

 「もう起きてた?今電話してて平気?」

 「ああ、さっき起きたとこ。今日同じ部署の先輩にゴルフに誘われててさ、11時過ぎに出る予定なんだ」

 「え、ゴルフ?賢吾ってゴルフやってたっけ?」

 高校はサッカー部で、大学ではテニスサークルだったのは知っているけれど、これまでゴルフは聞いたことがない。

 「いや、4人で行くんだけど、誘ってきた先輩以外は全員未経験でさ。だからショートコースっていって短い初心者用コース回るんだって」

 「そうなんだ。休日に誘われるなんて、新しい職場の人とうまくいってるんだね」

 「んー、ぼちぼちってとこかな。誘ってくれた先輩、高田先輩っていうんだけど悪い人じゃないんだけどちょっと抜けてるっていうか。この前もさぁ、、」

 そう言ってその高田先輩がミスした仕事を自分がフォローしたこと、朝のミーティングが長くて苦痛なこと、後輩の報連相ができてないなど、職場の愚痴が止まらない。

 (ストレス溜まってるんだなあ……)

 適度に相槌を打ちながら、ふと時計を見るとすでに30分近く経っている。
 このままだと、賢吾が出かける時間まで愚痴を聞き続けることになってしまいそうだ。

 私はちょうど会話が途切れたタイミングで、本題を切り出した。


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