世界はそれを愛と呼ぶ
「でも、ぽっと出の私にそんなこと言われても、信じられませんよね〜」
例え、運命の番だったとしても。
父親と彼女の伯父が親しかったとしても。
沙耶とお姉さん─京子さんの間には、何もない。
「とりあえず、しばらくお世話になりますし……もっと、この家について学びたいです」
「それは構わないのだけど、学校とか……大丈夫?授業も出られない状況だけど、単位とか……」
「それは平気です。私の家の街なので、そこら辺、緩く出来ているんですよ。成績さえ良ければ自由なんです」
「そ、そうなの」
「はい。だから、あまり大きな声では言えませんが、私が不調な時は相馬が、相馬が不安定な時は私が、互いに甘やかしあって、学校はサボってました」
「転入半年目でそれって……と言いたいところだけど、こっちにいた頃も仕事ばかりだったから、それに比べると全然良いか……」
「すみません。緩い制度で」
おかげで、沙耶は伸び伸び自由にできている訳だが。
「─相馬が甘やかしてくれるから、私も甘えてばっかりだったんですけど、私もたまには動かなきゃ」
「動くって?」
「悪役退治です」
「悪役……」
「心が揺れて、不安定になる時もあります。皆、私を大切にしてくれて、私は守られることに専念するべきなのかもしれないけど。でも、それはちょっと、私の信念に反するので……」
沙耶は京子に微笑みながら、
「黒橋家の娘として、役目を果たします」
と、携帯電話を見せた。