世界はそれを愛と呼ぶ

第8節 体力勝負

☪︎


「……やーーーっと、終わった」

フェリーチェは大きな溜息をつきながら、自室のベッドの上にひっくり返った。

「お疲れ様でした、フェリーチェ様」

「あー、やめやめ。つまんないよ、ルカ」

フェリーチェは寝転がった状態で手を伸ばし、ルカを誘う。

「フフッ、うん。─えらく不機嫌じゃない?お姫様」

ルカはくすくす笑いながら、衣服が乱れるのも気にせず、手を引かれるまま、フェリーチェの横に倒れ込む。

「……ルカ〜」

「なあに、フィー」

「キスして」

「また直球だなぁ」

ルカは楽しそうに笑いながら、お遊びみたいな口付けを繰り返す。

元々は孤児、拾われて、執事。
現在は、フィーの護衛兼婚約者。

昔から、フェリーチェのわがままを聞くのは全部、ルカの役目。フェリーチェを甘やかすのも。

「……沙耶、元気かなぁ」

「会いに行かなくちゃね」

「ほんとだよ!でも、今、向こう、色々と大変みたい。沙耶、定期的に向こうの様子を送ってくれるの。来るタイミングを誤らないようにだけど……麗良さんが言うことを聞いてくれると思わないんだけど?」

「……ボスも乗り気だし、いいんじゃない?」

投げた。完全に、ルカは思考を放棄した。

「だってもう、パッキングしてたよ」

「えっ、もう発つの!?」

「どうだろ?年齢的にゆっくりして欲しいんだけどね」

「ほんとだよ!2、3時間前まで、銃撃戦してなかったっけ!?」

おかげで疲労困憊なフェリーチェはベッドと仲良ししているのに、何故、90越えたふたりがそんなに元気なのか、全然理解出来ない。

「確かに行こうとしたタイミングで抗争が起きて、2人とも虫の居所が悪くなってたけど……まさか、史上最速で敵対組織を壊滅させただけじゃ飽き足らず、邪魔されないように悪の芽を片っ端から摘み始めて、その後始末や報復で、ここまでなるとは思わないじゃん……」

「90越えて、最前線で銃撃戦している方が問題だと思うけど」

「ほんとそれ!」

疲れすぎているせいで、テンションがハイになっているフェリーチェは、

「私も、パッキングしなきゃ……」

と、重い身体を動かそうとして、

「あ、フィーと僕の分は終わってるよ」

最愛の婚約者の言葉に、また、恋に落ちた。

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