世界はそれを愛と呼ぶ
─…………



「─おかえりなさい」

目を醒ますと、記憶の中の彼女。

「……だいぶ、情報整理されてたけど。されてなかったら、処理能力的に死んじゃってたかも」

身を起こして、

「神夜」

と、彼女の名前を呼ぶ。

「寂しがり屋でしょう?私の大好きな人」

「鷹遠ね」

「……私が、最悪な形で置いていったから」

そう言って笑う彼女は、今にも泣き出してしまいそう。

「ずっと、ここにいたの?」

「ううん。今の私は、思念体。ここから離れられないの。なんでかな。……貴女に会うためかな」

「……」

「ごめんね、ごめんなさ……」

沙耶は、神夜を抱き締めた。
抱きしめられるかは賭けだったが、彼女は腕に収まる。

「大丈夫。……出会えるよ。約束するから」

「っ、わ、私」

「大丈夫だから、いっぱい泣いていいよ。どこにいたって見つけてあげる。また、2人の縁を繋ぐよ」

きっと、鷹遠が行った業はふたりの運命を切り離した。
だから、鷹遠は永遠に死ぬことができなかった。
鷹遠が死を迎えないから、鷹遠が自分の子として、無意識に契約を結んだ要も生き続けて……。

「あ、あのね」

「うん、」

「守れなかった私の子、私達の子、要がね、救ったの」

「……」

「ずっと、私とここにいたの。でもね」

神夜の話は、驚くことばかりだ。
まさか、あの時に一緒に亡くなった子が肉体を得て、現在も生きているなんて、そんな─……。

「私は鷹遠の話しか知らないの。でもね、鷹遠が居なくなった世界で1度だけ、要が桜の木の下に来てね、『待たせたね』って笑って、あの子、いなくなって」

「……」

「私、引き止められなかった……」

鷹遠に繋がる、唯一無二の存在だったのに。
そう零して泣く神夜は、今も鷹遠を愛している。

< 282 / 290 >

この作品をシェア

pagetop