世界はそれを愛と呼ぶ
「……ごめん」
「どうして、貴方が謝るの。失くせないものを、最愛を、急に奪われてなお、貴方は理性を保っている。謝ることじゃないでしょ?」
彼女は立ち上がり、久遠の瞳を覗き込むように。
「そこに、黒橋沙耶はいる?」
相馬の最愛の名前を出した。
「……それを知って、何がしたいの?」
「だって、この執着は、信仰は、四季の家を狂わせたのは、彼女の血筋だもの」
「……」
「彼女は何も悪くないわ。ただ、調べはついていると思うけど、長い長い嫉妬からくる復讐劇なだけ」
「…………どうして、四季の家の彼らは狂った?」
少し考えて、久遠が問えば。
彼女は目を丸くした後、声を上げて笑った。
「─馬鹿ね。狂ったんじゃないわ」
何もかもを見下すを見るような目を、細めながら。
「元々、狂っていただけの話よ」