世界はそれを愛と呼ぶ
☪︎



御園相馬は、とある施設の中に侵入した。
真っ暗闇、人間の目には見えぬ、赤外線。

張り巡らされたそれに少し触れれば、警告音が鳴り響き、多くの人がこの場に集まってくるのだろう。

(施設が広すぎるから、慧とは別行動にしたが……)

遠くから聞こえてくる雷鳴に、ちょっと早まったかな、なんて、少し後悔。
相馬が主電源を落とすと、ほぼ同じタイミングで予備の電源が動き始める。
瞬間、落雷で完全に阻んだ慧はかなり怒り心頭なのだ。
おかげで、慧の気持ちに応え、自然が荒れている。

(あいつは産まれてきた時から、八百万の神に愛されていると囁かれてはいたけども……)

慧は姿も隠さず、淡々と暴れているため、お陰様で、人員はそちら側に割かれ、こちら側は人の気配すらないが……まぁ、慧とは違い、相馬は気配を消して行動しているから侵入に気づかれていないのだろうが。

自分の身体ギリギリに結界を張り、赤外線さえ避ければ、施設の深奥に足を踏み入れることなど、お手の物。

「……」

長い赤外線の廊下を抜けた先、普通に階段をあがっていくのは面倒だった。エレベーターは主電源を落としたこの施設ではもう使えないし……。

仕方がないので、窓から身を乗り出し、最上階を目指して飛べば、良い感じに最上階の窓枠を使うことが出来た。
そのまま空中で回転し、窓ガラスを割って飛び込んだ瞬間、鳴り響く警報。

バタバタと、人々が動く気配。

「……集まっておいで〜」

相馬は彼らがたどり着く前に退散しようと、適当にこの施設のデータが集まっている部屋を焼き尽くし、水浸しにした。

便利な鬼帝としての能力をフル活用に、さて、彼らはこの負債をどのように片付けるのだろうかと思いながら、最上階の1番奥の部屋、厳重に守られた部屋へ近付く。

今頃、動かないエレベーターに絶望しているだろうなぁ、と、施設の15階で思う。

厳重に守られている部屋のロックは、電子式だった。
おかげで、主電源が落ちているから、ロックも解除されていて、入りたい放題。

ラッキーと思いつつ、部屋に入ると。

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