空に還る。
二年くらいして、母は「新しいお父さん」を連れて帰ってきた。
きちんと生活を見直すと、これからは子ども達をしっかり育てると誓った母と、義父との生活が始まった。

義父は私達姉妹には関心がなかった。
食事をしていても、
休日にお出掛けをしていても、
私達が相変わらず、母に暴力をふるわれていても。

目の前に居ても、空気になることに徹しているみたいに、
義父は存在を消していた。

母からの暴力や、
気分次第では食事無しとか、そういうことも無くならなかった。

傘をバスに置き忘れた、
買ってもらったばっかりの靴下に穴を開けてしまった、
テストでいい点数が取れない、
体操服の帽子を無くしてしまった、とか。

どんなに小さいことでも起爆剤になった。

一番の理由は辞められないギャンブルと、
仕事のストレス。
例えギャンブルで大勝ちしたとしても
自分の為だけに遣えない、
「子どもが居る」ということこそが母にとっては足枷だったのだろう。

私を殴るたびに、母は泣いた。

翌日になると紫色の痣が
母の手のひらを染めた。

私に見せつけるようにして、
殴った手がどれだけ痛かったか、
それでもお前を正す為にやってるんだと、自分を正当化した。
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