取引婚をした彼女は執着神主の穢れなき溺愛を知る
「優維さん、駄目だ」
「お願い、わかって。私は千景くんのこと忘れない。保護猫譲渡会で猫を一緒にネットに入れたのもいい思い出になったわ」
「優維さん……?」

 千景は眉を寄せた。優維がどうして譲渡会のことを出したのか訝しんでいるようだった。そもそも一緒に保護猫をネットに入れたりなどしていない。
 優維は聖七の頬に手を伸ばし、はさむようにして自分に向けて唇を重ねる。
 触れるだけのキスだったが、それでも聖七は満足そうに目を細めた。

「今はこれでよしとしてやる。行くぞ」
 優維の手をつかみ、聖七は言う。
「待って、こんなんじゃ外に出られない」
 下着姿に千景のジャケットを羽織っただけの姿だ。

 優維はテーブルクロスをひっぱり、自分の身にまきつけた。
 聖七は顔をしかめた。

「服を着る時間くらいはある。早く着ろ」
「わかった」
 優維はテーブルクロスをぬいで、ワンピースを着る。
 その後、テーブルクロスを畳むためにいったん広げながら聖七に近づく。

「そんなものはいいから早くしろ」
 聖七が優維に手を伸ばした直後。
 優維はクロスを聖七の頭からかけた。
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