すべての愛を君だけに。

「ごめんね、用事…思い出して」


「…そっか」






納得、してくれた…?


ホッと肩を撫で下ろす。


椅子をわたしの机に近づけて距離を詰めた天ヶ瀬くんの手のひらが上向きに机の上に置かれる。


不思議そうにしているわたしに






「手、貸して」


「手?」






そう言われて膝の上にある両手のうち、右手を出す。


机の上の天ヶ瀬くんの手がわたしの手を握る。


わたしよりずっと大きくて力強い手。






「今度は送ってくから、ちゃんと言って」


「うん、ごめんね」


「もういいよ、謝らないで」






ふわっと微笑む天ヶ瀬くんはやっぱりかっこいい。


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