すべての愛を君だけに。
「…わかった、雨には俺から言っとくよ」
「ほんと?じゃあ決まったら教えて、あと何が好きかも聞いといてね」
「雨はなんでも食べるよ」
「なんでも?」
「好き嫌い、あまりないはず」
「……ふーん」
沙織は少し距離を詰めて肩に頭を乗せ俺の手を取り指を絡めた。
シャンプーと石けんの香りがする。
「どうした?」
「さっきから雨ちゃんのこと、名前で呼んでる」
「…そうか?」
「叔父さんは姪のこと、なーんでも知ってるんだね」
叔父と姪。
その姪から向けられた想いが頭から片時も離れず、ぐるぐる回っている。
でもその思いは許されない。